発生学1 体腔・骨格・外皮

#基本的にラングマンに基づいており、ところどころムーアで補った。
#用語についてはラングマンとムーアでもかなりの隔たりがあった。だから用語はそんなもんって認識で。図中の用語についてもとった教科書などによって違っていることがあるため、だいたいニュアンスが同じものは同じものをさしていると考えてたほうがいい。
 
 
 
各論

体腔
壁側中胚葉臓側中胚葉を包み込むようにして折りたたまれていくことで胚内体腔ができている。
 
この腔所がまず横中隔によって不完全に区切られる。これによって上部の心膜腔部分と腹膜腔部分がだいたい分断されるが、心腹膜管によって両者はつながっている。

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この状態で背側から胸腹膜ヒダが成長してきて横中隔と癒合する結果、胸腹膜を形成し、心膜腔部分と腹膜腔部分の分離が完了する。また、後に体壁から筋性の突起が成長してきてこの胸腹膜を置き換えていくため、筋肉と横中隔からなる横隔膜が形成される。
・・横中隔は生後に腱中心となる。

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心膜腔部分と胸膜腔部分の分離は横隔膜の形成と同時におこなわれている。これは胸心膜ヒダが成長することによって行われる。肺芽が心腹膜管部分で成長するに伴って胸心膜ヒダを通じ心膜腔を側方から圧迫していくが、その際に胸心膜ヒダも成長し、胸心膜として食道の背側間膜及び横中隔と癒合し、この分離は完了する。肺芽が圧迫することで心膜腔が縮小され、心膜腔と胸膜腔のバランスがとれ縦隔が形成される。

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横隔膜は頚椎からのびる横隔神経によって支配される。これは胚子の成長によって相対的に横隔膜が下降することによる。その際に横隔神経は胸心膜を通過するため、成人では横隔神経は胸心膜に由来をもつ線維性心膜の上に位置するようになる。

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骨格系
扁平骨は膜内骨化によってつくられ、長管骨は軟骨内骨化によってつくられる。膜内骨化では間葉組織が凝集し、その中に一部の細胞が骨芽細胞へと分化して骨基質を産生することによって行われる。一方で軟骨内骨化でははじめに一次骨化中心にて硝子軟骨が形成され、その軟骨が石灰化した後に骨化することから開始され、以降骨端軟骨板にて軟骨の形成−石灰化−骨化というプロセスが行われることで骨の成長がおきる。
 
頭蓋は上部の神経頭蓋と下部の内臓頭蓋にわけられる。頭蓋は膜内骨化でつくられる骨が多いが、神経頭蓋の底部には軟骨からなる軟骨性頭蓋がある。頭蓋の大部分は神経堤に由来し、のこりは沿軸中杯葉に由来する。
 
四肢は中胚葉由来に芯をもつ体肢芽に、外胚葉が肥厚していくことで成長する。まず手と足の膨らみができ、その付け根がアポトーシスすることで棒状の概形ができる。そこから軟骨内骨化によって骨が形成されていく。その後、上肢は外向きに回転して肘が外を向き、下肢は内向きに回転して膝は頭側を向くようになる。
また四肢の外形を形成している間に体肢芽の間葉は凝縮をはじめ、軟骨細胞に分化し、関節中間帯が形成される。この領域の細胞が増殖し、その後に細胞死することで関節腔が形成される。またその周囲の細胞が分化して関節包が形成される。

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脊柱は脊索の周りに集まった体節の椎板が上下に分離し、断片が上下の別の椎板の断片とくっつく。さらに下側の断片から分離した間葉細胞が分化して椎間円板を形成し、脊柱の分節構造が形成される。この際脊索は退行して消失していくが、髄核だけは脊索から形成される。

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・肋骨も椎板由来で、胸椎の肋骨突起より軟骨内骨化にて成長する。
・胸骨は腹側外側の壁側中胚葉から分化し、この左右一対の原基が移動しながら軟骨化し、さらに正中にて癒合した後に骨化することで形成される。
・・このような発生をするために剣状突起は二分したり穿孔をもったりする。
 
 
四肢発生の分子的制御
・頭尾軸に沿った肢の位置はHOX遺伝子群によって制御される。
・最初に肢芽がふくらみはじめるのはFGF10の作用により、その後はホメオボックス遺伝子のMSX2のシグナルが外胚葉性頂提の形成を誘導し、その位置はSER2エングレイルド1などの作用で決められる。
・外胚葉性頂提はFGF4FGF8を発現し、肢を遠位方向に成長させる。
 
・肢の前後軸(背腹軸)は肢の付け根近くの後縁に存在する極活性化域/ZPAによって制御され、これがレチノイン酸を産生することでソニックヘッジホッグ/Shhを刺激し、これによって指が正しい順序で形成される。
・肢の背腹軸はBMPの制御もうけ、BMPEN1発現→Wnt7a発現抑制となる。Wnt7aはZPAでのShhの発現を維持する。またWnt7aはLMX1の発現を誘導し、これは細胞を背側のものに特殊化させる。
・・Shh、FGF、Wnt7aはHOX遺伝子を活性化し、そうしたさまざまなHOX遺伝子によって四肢骨の型と形が制御される。
 

筋系
骨格筋は中胚葉(沿軸中杯葉→体節→筋板)由来である。筋板は一次後枝に支配される背側部の上分節一次前枝に支配される腹側部の下分節にわかれる。これらの神経ははじめに分布した筋に付着して一緒に遊走していく。上分節からの筋は脊柱の伸筋を形成し、下分節の筋は体肢と体壁の筋を形成する。この際、筋形成は結合組織に支配される。筋の成長は、筋芽細胞と筋管が絶え間なく融合していくことによってなされる。
 
ほとんどの平滑筋と心筋は臓側中胚葉に由来し、虹彩や乳腺、汗腺の平滑筋は外胚葉から分化する。
 
 
筋発生の分子的制御
・体節の下方の下分節ではBMP4とWnt(とFGF)が共同して筋特異性遺伝子MYODを発現する。
・体節の上方の上分節ではBMP4→Wntにより別の筋特異性遺伝子MYF5を発現する。
・これらはミオゲニンMRF5タンパクを作る遺伝子を活性化し、それらが筋の形成を促進する。

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外皮系
皮膚とその付着物(毛、爪、乳腺)は体表外胚葉に由来する。ただしメラニン細胞だけは神経堤由来であり、表皮まで遊走してくる。また真皮は中胚葉由来(側板中胚葉と皮節)である。
毛は表皮細胞が下層の真皮にむかって伸びて発生し、脂腺や汗腺、乳腺などもすべて表皮の増殖による。毛の血管や神経終末は、毛の陥入部分の先端にある毛乳頭が中胚葉によって埋められ、その中胚葉中に発生する。
 
・・乳腺も始めは陥入することで形成されるが、その下の間葉が増殖することで逆に膨らむ。
・・乳腺は腋から鼠径部にかけて存在する乳腺堤において多数発生するが多くは途中で消滅し、一対だけがのこってあの乳房になる。
 
 
外皮発生の分子的制御
FGF7とGM−CSF/顆粒球−マクロファージ刺激因子(IL−1分泌を刺激する)は、肺芽層の細胞が分化するか幹細胞にとどまるかを調節する。また転写調節因子p63も肺芽層の分化を調節する。
Notchシグナルは肺芽層ではケラチン分子の発現をKrt、Involutionなどを活性化することにより促進するが、表層ではFilaggrinやLoricrinなどを抑制することで抑制する。

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