運営に当たってのご意見をください

どうも、管理者です。

 

アップロード作業がめんどくさいので、ながいこと放置してるんですが

ほっとくうちに結構色んな方が見に来てくれてたみたいでびっくりしてます

 

 

お役に立っているのでしょうか?

まだ3GB近くのデータがあるのですが、、結構処理がめんどくさくて

もし、見てるよー!とか役立ってるよ!って方がいらっしゃったらコメントいただけるとうれしいです。頑張って残りをアップロードしようと思います。

 

※閲覧により管理者は広告収入などは得ておりません。

発生学8 中枢神経系

中枢神経は発生3週に原始線条の前方に神経板が形成されることから出現する。神経板の外縁部はまもなく隆起して神経ヒダとなり、これの両側が癒着して神経管となる。癒着は頸部から頭尾方向にはじまり、頭側と尾側の両方に羊膜腔への開口部である頭側神経孔尾側神経孔を形成するが、これは後にチャックを閉めるみたいなかんじでやっぱり閉鎖する。

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脊髄
閉鎖直後の神経管壁は神経上皮細胞で構成されており、これが増殖することで神経上皮/神経上皮層を形成する。神経管が閉じると神経上皮は分化し、神経芽細胞となって神経上皮層を取り囲み蓋層/外套層を形成する。蓋層はのちに脊髄の灰白質となる。また蓋層の神経芽細胞から伸びた神経線維が蓋層の外側に縁帯とよばれる層をつくり、これは後に脊髄の白質となる。
神経上皮はダイヤ型をしており、その横の出っ張りを境界溝とよぶ。蓋層に神経芽細胞が増える結果 蓋層は背側と腹側で肥厚し、分界溝によって分けられる翼板基板を形成する。翼板は背側で知覚性域となり、腹側の基板は運動性域となる。また、中心部の内腔は次第に縮小して中心管となる。
・T1~L3では交感神経部のニューロンをもつ側角も形成される。
・神経上皮の背側と腹側の折れ曲がっている部分はそれぞれ蓋板底板とよばれ、左右の神経線維の通路となる。

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神経細胞と神経膠細胞
神経上皮細胞ははじめ対称分裂により2つの神経上皮細胞に分裂するが、後に非対称分裂を行うようになり、神経上皮細胞と神経芽細胞に分化するようになる。このとき神経上皮細胞はこのサイクルを繰り返すが、神経芽細胞は細胞分裂能がなくなる一方で分化を開始し、最初管腔に伸びる突起(一過性樹状突起)をだしたあと消滅し、無極神経芽細胞となる。これがさらに分化して両側に突起を生じて双極神経芽細胞となる。そこから一方が軸索に、一方が樹状突起となって多極神経芽細胞となり、さらに分化して神経細胞となる。この神経細胞のうち基板のものは縁帯を貫いて脊髄外にでるが、翼板のものは縁帯中を上行または下行して連合ニューロンを形成する。
神経膠細胞は神経芽細胞の生産がおわったあとの神経上皮細胞からうまれ、蓋層では形質性星状膠細胞線維性星状膠細胞になる。また縁帯では稀突起膠細胞がうまれ、髄鞘を形成する。小膠細胞は間葉細胞に由来して中枢神経を生じ、食作用などをおこなう。神経膠細胞の生産を終えると、神経上皮細胞は脊髄中心管の内面を覆う上衣細胞となる。

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脊髄神経節
神経板の陥入の際に生じた神経堤細胞は遊走して偽単極神経細胞となり、脊髄神経節を形成する。この細胞の樹状突起であるほうの突起は内臓などの感覚終末へと至る。また軸索のほうの突起は脊髄の背側部へ入り、後角に進入するか縁帯を上昇して高位大脳中枢へと至るかのどちらかとなる。

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脊髄神経
前根は基板の神経が寄り集まって形成される。一方後根は脊髄神経管からの神経が集まって形成される(翼板のものではない)。また脊髄神経管から後根とは反対側に延びている神経線維は前根の神経と合流して脊髄神経を形成し、すぐに一次前肢と一次後枝にわかれる。
・一次後枝は背筋など一部のものだけを支配し、一次前肢は内臓などで神経叢を形成するなどいろいろなものを支配する。
 
末梢神経の髄鞘はシュワン細胞がつくるが、これは神経堤に由来し末梢へ遊走して神経に巻きつき、神経鞘を形成する。一方脊髄での髄鞘は稀突起膠細胞に由来する。
 
髄膜
神経管の周囲の間葉組織が密集し、原始髄膜を形成する。この膜の外層は肥厚して硬膜となり、内層は薄いまま軟膜クモ膜に分化する。
 
脊髄の位置
発生第3か月には脊髄は胚子の全長に及んでおり、脊髄神経はそれぞれの起始の高さの椎間孔を通過する。しかしその後脊柱と後膜のほうが神経管よりも急速に成長するため、脊髄神経と椎間孔はズレ、また末端では脊髄の長さが足りなくなる。このため下端付近からは神経と軟膜が糸状に伸びて終糸をつくる。また、下肢、骨盤へ分布する神経の束である馬尾が形成される。
・・馬尾の位置はクモ膜下腔であり脳脊髄液があるため、腰椎穿刺で使われる。

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脊髄分化の分子的制御
・BMP4、BMP7と抑制性のShhによって、PAX3、PAX7、MSX1、MSX2が部位ごとにパターンをなして発現する。
・Shhが腹側から働くことで神経管が腹側化し、底板域Fが形成される。底板でもShhが発現し基板には運動性ニューロンが生じる。一方で背側ではShhの抑制の効果から遠くBMPによるPAX3とPAX7の発現が維持されているため、知覚性ニューロンを作る翼板となる。

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神経管の頭方端には前脳・中脳・菱脳(後脳ともいう)の3つの拡張部(一次脳胞)が形成される。ここで、中脳屈/頭屈頸屈が同時におきる。この際の頸屈が菱脳と脊髄の境目を形成する。
・・脳の屈曲を脳屈という。中脳屈・頸屈・橋屈の3回おきる。

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さらに発生5週目になると前脳は側方突出部である原始大脳半球とその中間部からなる終脳と、眼胞の膨出がある間脳にわかれる。また中脳は菱脳峡/峡によって菱脳から分けられる。さらに菱脳も橋屈によって2つに分かれ、脳と小脳になる後脳と、髄脳ができる。(二次脳胞の形成)
脊髄の腔である中心管は脳胞と連続しするが、大脳半球の腔は側脳室、間脳の腔は第3脳室(側脳室が2つあるから第3?)、菱脳の腔は第4脳室という。第3脳室と第4脳室は中脳の腔で連結するが、これは非常に細くなっているため中脳水道/シルヴィウス水道とよばれる。また、側脳室と第3脳室はモンロー室間孔で交通する。

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髄脳
髄脳からは延髄が生じるが、ダイヤ型ではなく扇型のような形になっているところが脊髄と異なる。脊髄と同様に基板と翼板があるが、これらはそれぞれ3つの核にわかれる。
内側から外側へ(図で下から上に)
  • a,一般体性遠心性の核群 舌下神経の核を含む。(※脊髄前角細胞群のものと連続)
  • a,特殊内臓性遠心性の核群 副神経、迷走神経、舌咽神経の核を含む
  • a,一般内臓性遠心性の核群 不随意筋を支配する運動性ニューロンを含む
  • b,一般内臓性求心性の核群 消化管および心臓の神経をうける
  • b,特殊内臓性求心性の核群 舌、口蓋、咽頭などからの神経をうける
  • b,一般・特殊体性求心性の核群 三叉神経(一般)、内耳神経核群(特殊)を含む
・・・体性・内臓性・内臓性・体性。体性遠心性と体性求心性はなんかタイプが違う感じがして、端どうし。内臓性は似た感じがするから近い・・・。また一般よりも特殊のほうが反発力がつよいかんじ。
髄脳の蓋板は脈管を含む脳軟膜によって覆われた単層の上衣細胞から構成され、脈絡固有組織という。ここに脈管を含む間葉が活発に増殖することで脳室に向かって脈絡叢なる突出が形成され、脳脊髄液を生産する。

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後脳
後脳からは小脳が形成される。橋は延髄から連続するような部分であり、小脳は図の上側に新たに形成されるような形で生じる(菱脳峡の図も参照)。
 
-橋
後脳(おもに橋の部分)は髄脳と似たような構造で6つの核がある。
  • a,体性遠心性の核群 外転神経の核を含む
  • a,特殊内臓性遠心性の核群 三叉神経と顔面神経の核を含み、第1,2鰓弓を支配する。
  • a,一般内臓性遠心性の核群 
  • b,一般内臓性求心性の核群 
  • b,特殊内臓性求心性の核群 
  • b,体性求心性の核群 三叉神経(一般)と前庭神経核、蝸牛神経核(特殊)

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-小脳
翼板の背外側方部は内側にまわり(上図も参照)菱脳唇を形成する。橋屈がさらに深くなる(図1が谷折りになっていく、図2)結果、菱脳唇は頭尾方向に圧迫されて小脳板となる。まもなく小脳板下方には横裂ができ、片葉と小節が上部より分離される。
・・ゆえに小脳は翼板由来。

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はじめ小脳板は神経上皮、蓋層、縁帯からなっているが、その後神経上皮によって形成された翼板背側部の位置に相当する部位の多数の細胞が小脳の表面に遊走して外顆粒層を形成する。この層の細胞は分裂能を保持しており増殖し、小脳を突出させるとともに表面ののヒダ状の構造が形成される。また表面に遊走しなかった翼板の他の神経芽細胞のなかには髄質中に小脳核を形成するものもあり、その中で最大のものが歯状核とよばれる。また外層の表層には小脳皮質に特有な大型のプルキンエ細胞が発生し始める。
外顆粒層では様々な細胞が分化するが、それらは分化中のプルキンエ細胞に向かってこんどは内側へ遊走して顆粒細胞などになり、顆粒層を形成する。こうして小脳に特有な、分子層−プルキンエ細胞層−顆粒層という皮質の3層構造と、髄質とそのなかに存在する(深部)小脳核という構造が形成されるが、それがその最終的な大きさに達するのは生後である。

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中脳
中脳では基板は動眼神経滑車神経を含む体性遠心性核群と、瞳孔括約筋を支配する核(エディンガー・ウェストファール核)で代表される内臓性遠心性核群からなる。基板の縁帯は大きくなって大脳脚を形成し、大脳皮質から下位の中枢に下行する神経線維の通路となる。
背側では、翼板が成長することによって隆起が形成される。発生がすすむとこの隆起は溝によって頭尾方向で2分され、隆起が上丘下丘に分かれる。上丘と下丘(四丘体)は、神経芽細胞が翼板から縁帯へと波のように移動してくることによって形成され、層状構造を示す。上丘は視覚反射に関係し、下丘は聴覚反射に関係する。
・また基板からの神経芽細胞は赤核をつくる。また灰白質の帯である黒質も形成される。

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前脳
前脳は終脳間脳にわかれる。終脳は大脳半球を形成し、間脳は眼杯などや視床視床下部など、また松果体を形成する。
 
-間脳
間脳の蓋板は脈管に富んだ間葉で覆われた単層の上衣細胞からなり、第3脳室の脈絡叢を形成する。また蓋板の最尾部には松果体/上生体ができる。松果体ははじめ肥厚にすぎないが、しだいに膨出し始めることで形成される。

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翼板は間脳の側壁を形成するが、視床下溝という溝によって視床視床下部に分割される。視床はその後増殖して第3脳室内に突出し、一部では左右が癒合して視床間橋/中間質が形成される。視床下部では多数の核域が生じるが、なかでも乳頭体が腹側面に明瞭な隆起をもたらす。
・・図では乳頭体は縁帯にあるようにみえるけれど、やっぱり核だから蓋層に属するはずで・・・と思ったら、どうやら翼板から表面へとほんとにとびだしてるみたい。

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下垂体は口窩の外胚葉性天蓋がポケット状に膨出したラトケ嚢と、間脳神経性外胚葉の下方への伸長である漏斗から形成される。これらはどちらも外胚葉だが、一方は神経性で他方は違うことが重要である。
胚子が3週に達するとラトケ嚢は口窩の膨出として現れ、漏斗に向かって背側に成長する。後にラトケ嚢は口窩との連絡を失い漏斗と密接するようになる。その後ラトケ嚢の前壁が活発に増殖して下垂体前葉=腺性下垂体を形成する。一方で後壁は中間部となるが、ヒトではほとんど意味がない。また、漏斗は下垂体後葉=神経性下垂体を形成する。

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終脳
終脳は2つの大脳半球とその中央部の終板から構成される。大脳半球の腔である側脳室は、モンロー室間孔を通じて第3脳室と交通する。
 
-大脳半球
胎性2か月ごろまでに大脳半球の基部が肥大することにより線条体が形成され、これが室間孔と側脳室腔に突出する。また大脳半球の内側壁には非常に薄くなる部分があり、脈絡裂とよばれる。この脈絡裂から脈絡叢が側脳室内にはみ出す。脈絡裂のすぐ上の半球壁は逆に肥厚し、ここに海馬が形成される。
また大脳半球が成長し屈曲することで、線条体や側脳室はC字型を呈するようになる。

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その後、大脳皮質が分化するに従って大脳皮質に出入りする神経線維(内包)が線条体を通過するため、線条体は背内側の尾状核と腹外側の被殻(図ではレンズ核となっているが、レンズ核被殻淡蒼球(発生由来が線条体と異なる)の総称であるため訂正した)に分割される。

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大脳半球がさらに成長する結果、前頭葉、側頭葉および後頭葉が形成される。しかし線条体がかぶさっている部分は成長が遅くを形成するが、これはC字型になった前頭葉と側頭葉に覆われてしまう。大脳半球の表面は胎性の末期に極めて急速に発達するため、表面には裂と溝で分けられた多数の脳回があらわれる。
・・大脳の正中部にのこった間葉は左右の半球をわけるヒダ状組織である大脳鎌となる。

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皮質の発生
大脳皮質は外套層から発生するが、これは2つに分けられる。ひとつは線条体のすぐ側方の古皮質で、もうひとつは海馬と古皮質にはさまれた新皮質である。
新皮質では新しい神経芽細胞が古い以前のものよりも表層にくるため、表層ほどあとから形成された神経芽細胞が位置する。出生時に皮質が重層様構造をみせるのは、神経芽細胞がこのまま層をなして分化するためである。
・・発生の際に新しくできた新皮質が古皮質を側方に追いやっていくかんじになる。

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嗅球
鼻腔の天井の外胚葉に嗅上皮が生じるとともに、終脳の底でも嗅球ができる。そして嗅上皮から嗅球へと嗅神経がのびていく。

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交連
大脳皮質が発達するにつれて、一群の神経線維(交連)が対応する大脳半球の対応する左右の領域を連絡する。このなかで重要なものは、前脳の真ん中にあった終板を利用するものである。
まず前交連が生じ、嗅球などを連絡する。次に海馬交連が生じる。その次に最も重要な脳梁が生じる。これははじめ終板内にあるが、大脳皮質が大きくなるにつれて神経線維が加わって拡大し、間脳の上にアーチ状に広がるようになる。また松果体の付け根のあたりに後交連手綱交連が、それから視床下部の下側に視交叉も生じる。

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末梢神経系はほとんどは神経堤から発生する。末梢神経系において知覚神経の細胞体は中枢神経系の外に位置しているが、それらはすべて双極性の神経細胞である。しかしラセン神経節と前庭神経節を除いてその2本の突起が癒合し、偽単極性のニューロンとなる。
 
脊髄神経
前述の脊髄を参照(→脊髄)。
 
脳神経
発生第4週までに12対の脳神経のすべての核が存在する。嗅神経と視神経以外の神経はすべて脳幹から起始し、そのなかで動眼神経だけが菱脳ではなく中脳から生じる。運動ニューロンの核は脳幹内にあり知覚神経の核は脳の外にあるというように構造は脊髄神経と同様だが、すべての神経が運動神経と知覚神経を両方持つわけではない。
・・知覚神経節の起源は鰓弓の背側にある外胚葉性プラコード(三叉、顔面、舌咽、迷走)と、神経堤細胞である。副交感神経節は神経堤細胞に由来し、それらは動眼、顔面、舌咽、迷走神経にふくまれて標的に至る。
 
−体性遠心性脳神経
滑車神経4、外転神経6、舌下神経12と、動眼神経3の大部分で、脊髄神経の前根と相同。舌下神経は数本の神経の根が癒合して形成される。
 
−鰓弓神経
三叉5、顔面7、舌咽9、迷走10(と反回)は、それぞれ1,2,3,4−6鰓弓から発生する。ただし、三叉神経の枝 眼神経は、鰓弓由来ではないものをふくんでいる。
 
−特殊感覚神経
嗅神経、視神経、内耳神経。内耳神経は前庭神経核と蝸牛神経核からなるが、どちらも双極性のニューロンからなる。

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自律神経系
-交感神経系
胸部神経堤由来の細胞が遊走して交感神経幹を形成する。また末梢での神経節を形成する。交感神経幹が完成すると、脊髄(T1~L3)の側角/内臓性遠心性核柱に起始する神経線維がこの神経幹に侵入するか、白交通枝や灰白交通枝などを利用するかなどする。
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--副腎
皮質は中胚葉から、髄質は神経堤から発生する。腸間膜根部と生殖腺の間に位置する間葉が増殖して胎性皮質が形成され、そこに遊走してきた髄質が侵入する。その後、中皮から遊走してきた細胞がさらに皮質をとりまき、皮質の層を形成する。
・髄質を形成する遊走してきた細胞はクロム塩で褐色に染まるためクロム親和細胞ともよばれる。このようなクロム親和細胞は胎性期間中は胚子の体内に広く存在しているが、成人では細胞集団が残っているのは副腎髄質だけとなる。
・・神経堤に由来しているが神経節と異なる組織になるものをパラガングリオンという。副腎髄質や頸動脈小体など。

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-副交感神経系
脳幹部および脊髄の仙髄部にあるニューロンが副交感神経の節前線維を生じる。
 
 
 
脳分化の分子的制御
神経管の発生は神経分節/脳分節/neuromereという分節構造から形成されている。前脳は前脳分節p1−p6,中脳は1つの中脳分節m、量のは菱脳分節r1−r8からなる。(ただし峡をr0とすることやr8をみとめないことがある)
分化の際、峡はFGF8によってを分泌して中脳に視蓋を誘導するなど、オーガナイザーとして機能することがわかっている。
・・p1は視蓋前域、p2は背側視床、p3は腹側視床、p4は乳頭体や大脳皮質など、p5は漏斗、灰白隆起、大脳基底核など、p6からは中隔野などが形成されると考えられている。

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中脳と前脳もHOX遺伝子によって制御されるが、新しい脳であるためかそのクラスが異なる。
・脊索前板に発現するLIM1と神経板に発現するOTX2が初期に機能し、神経ヒダと鰓弓が形成されるとOTX1、EMX1、EMX2

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・これらによって境界が画定されると、つぎに前神経ヒダ/ANRに新たな組織化中心が出現する。
・ANRではFGF8脳因子1の発現を促進し、峡ではFGF8がエングレイルド1、2/EN1,EN2の発現を誘導する。
・EN1は中脳背側部と菱脳前方部の小脳の部分に発現しこのあたり全体の成長に関係するが、EN2は小脳の部分の発育にだけ関係する。
 
・腹側のパターン形成は、Shhによって誘導されるNKX2.1が関係しており、視床下部の発達を制御する。
・それより尾側では、ShhとBMP4、BMP7によって制御される(→脊髄の分子的制御)。

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発生学6 平衡聴覚器

平衡聴覚器

成人では耳は聴覚と平衡覚を司る1つの解剖学的単位となっているが、外耳・中耳・内耳は明らかに異なる部分からそれぞれ発生する。
 
 
内耳
発生22日の胚子で神経管が陥入しているころ、菱脳の両側の体表部分の肥厚として耳板が形成され、急速に陥入して耳胞となる。耳胞の形成中にその壁から内耳神経節が生じ、これが後にラセン神経性節と前庭神経節にわかれてコルチ器と卵形嚢・球形嚢を支配するようになる。

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球形嚢・蝸牛・コルチ器
耳胞腹側部に生じた球形嚢から下側に管状突出を生じ、周囲の間葉をまきながららせん状に2.5回転して蝸牛管となる。また蝸牛管と球形嚢の結合部は搾られて結合管となる。

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耳胞を取り囲んでいる間葉は軟骨に分化し、これが後に骨化することで骨迷路が形成される。蝸牛管のまわりでは、周囲の軟骨中に空胞が生じることによって前庭階鼓室階が形成される。これによって蝸牛管は前庭膜によって前庭階から、基底板によって鼓室階から隔てられているようになる。このとき、蝸牛管は外側壁ではラセン靭帯によって付着しているが内側角は蝸牛軸として結合している。

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蝸牛管の上皮細胞は発達に伴って分化し、 内側隆起と外側隆起を生じる。内側隆起は後にラセン板縁となり、また外側隆起には有毛細胞が生じ、コルチ器となる。

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卵形嚢と半規管
半規管は耳胞の卵形嚢部から扁平に突出することで出現し、突出部の縁以外の壁の両面が癒合して消失することで管だけが残り形成される。各半規管の付け根の一端は拡張して膨大部脚となり、のちにこの部位に感覚細胞を有する膨大部稜が生じる。
・・半規管の膨大部脚とならないほうの付け根は非膨大部脚とよばれるが、これのうち2つが癒合するために卵形嚢には5つの脚が開いている状態になる。

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中耳
鼓室は第1咽頭嚢の耳管鼓室陥凹に由来し、これが拡張することで原始鼓室となる。この近位部は拡張せず狭いままで残り、耳管/ユースタキー管となって咽頭鼻部につながる。
耳小骨のツチ骨、キヌタ骨は第1鰓弓に由来し、アブミ骨は第2鰓弓に由来する。これらは胎性8か月まで間葉組織の中に埋没したままとなっている。原始鼓室が拡大し耳小骨が掘り出されると、耳小骨ははじめ腸間膜のような様式で鼓室壁に結びつけられ、後に靭帯によって固定されるようになる。
・・鼓室は肺胞に拡張して錐体乳突部の乳頭洞を形成する。これは出生時にはすでに成人と同じ大きさに達している。一方で乳突蜂巣は出生後に成長し、側頭骨の乳様突起を形成する。

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外耳
外耳道は第1鰓溝から発生する。胎性3か月でその底の上皮細胞が増殖して外耳道栓が形成されるが、7か月で融解し、その際に外耳道栓が鼓膜の形成に関与する。(図は中耳の1つめを参照)
耳介は第1,2鰓弓の6つの間葉組織が隆起し、のちに癒合することで形成される。この癒合は複雑なので異常が発生しやすい。
 
 
平衡聴覚器の完成形

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感覚細胞の分子的制御
Atoh1が発現すると有毛細胞に分化し、Hes1/5が発現すると支持細胞に分化する。有毛細胞ではJaggedとDelta1を発現しており、これにより隣接する細胞でNotchシグナルが活性化され、Hes1/5が発現する。Hes1/5はAtoh1を抑制するため、有毛細胞の隣に支持細胞が生じる。

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発生学5 頭・頸部

頭・頸部

頭・頸部の発生では鰓弓/咽頭が重要な役割を果たす。神経堤由来の鰓弓は第1〜第6までの6対存在し、それぞれ独自の筋・神経・動脈をもち頭・頸部のさまざまな部位の形成に寄与する。また、各鰓弓の境目となる鰓弓の外側の溝を鰓溝/咽頭といい、内側のくぼみを咽頭という。咽頭嚢は前腸の先端部分がふくらみ、鰓弓に食い込んだ部分とみることもできる。

・鰓弓は発達とともにその独自の神経を引っ張っていくため、鰓弓由来の部分はその鰓弓の神経の支配をうける。

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鰓弓
第1鰓弓 口裂をはさんで上顎隆起と下顎隆起を形成する。上顎隆起からは上顎骨や頬骨などが生じ、下顎隆起は後にほとんど消滅するメッケル軟骨を形成し、それから上方ではキヌタ骨・ツチ骨を下方では下顎骨などが生じる。また、第1鰓弓は顔面の真皮にも寄与し、上顎・下顎とともにそれぞれに三叉神経の枝が分布する。
第2鰓弓 舌骨弓(図の青色部分)の軟骨(ライヘルト軟骨)からアブミ骨や側頭骨の茎状突起などが生じる。表情筋のすべても第2鰓弓。顔面神経
第3鰓弓 舌根胸腺の原基となる。筋は茎突咽頭筋しか生じない。舌咽神経
第4鰓弓 第6鰓弓と癒合して咽頭の軟骨などを形成する。迷走神経反回神経
第5鰓弓 痕跡的
第6鰓弓 第4鰓弓と癒合する。反回神経

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前腸由来の咽頭嚢は、第1鰓弓と第2鰓弓の間に第1咽頭嚢がある というようにして5対存在する。
第1咽頭嚢 耳管鼓室陥凹を形成し、外耳道を形成することになる第1鰓弓上皮と接触、さらに膨出部が拡張して原始鼓室となり、中耳耳管の形成に関係する。
第2咽頭嚢 口蓋扁桃の原基を形成し、これが扁桃窩となる。
第3咽頭嚢 第4咽頭嚢とともに末端に背側翼と腹側翼がある(=図では上と下の両方に伸びている)。腹側翼は胸腺となり、背側翼は上皮小体となる。この後、胸腺が下上皮小体をひっぱりながら尾方に移動する。(背腹は立体をイメージすればどっちかわかる。)
第4咽頭嚢 背側翼と腹側翼がある。背側翼から上皮小体が形成され、甲状腺の背面に付着する。
第5咽頭嚢 ほとんど痕跡的であるが、鰓後体を生じ、これがカルシトニンを分泌する傍濾胞細胞となる。

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鰓溝/咽頭
はじめ4つの鰓溝があり、第1鰓溝が下層に侵入して外耳道を形成する。他の鰓溝は、第二鰓溝内の間葉が活発に増殖して第3,4鰓溝を覆い、頚動という腔を残すのみとなるが、この頚動もやがて消失する。(図は上の左)
 
 
 
第1鰓弓から外側舌隆起と正中に隆起する無対舌結節が生じることにより出現する。またその後方に第2,3,4鰓弓から2つめの正中隆起である結合節/鰓下隆起が形成される。さらに後方には第4鰓弓から3つめの正中隆起が生じ、これは咽頭に分化する。
外側舌隆起が成長して無対舌結節を覆うようにして癒合し、舌の前半2/3を形成する。このため舌の前部は三叉神経下顎枝によって支配される。後方では第3鰓弓由来の細胞が増殖し、舌後方は舌咽神経によって支配されるようになる。一方で舌のさらに後方は、後頭体節から遊走してきた細胞が分化するために、舌下神経に支配される。
・・味覚刺激は舌前部は第2鰓弓の顔面神経、後部は舌咽神経で伝えられるみたい。
・・口腔〜咽頭では、感覚神経と運動神経が一致しない。舌では感覚神経と味覚神経も一致しない。

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舌の無対舌結節と結合節の間にある舌盲孔において、喉頭底の上皮細胞が増殖することによって出現する。その後甲状腺は前が2葉に分かれた憩室となって下降する。移動の際には舌から甲状舌管という管を伸ばしてつながっているが、これは後に消滅する。その後、第5鰓弓からの間葉が侵入して傍濾胞細胞を形成する。

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顔面
胎性4週に第1鰓弓から上顎隆起下顎隆起からなる顔面隆起が出現する。また前頭鼻隆起が顔の前面を構成している。前頭鼻隆起の両側で外胚葉の肥厚である鼻板が出現し、これが陥入して鼻窩となる。この陥入の際に鼻窩外縁が隆起し、内側と外側の鼻隆起が形成される。

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この後、上顎隆起が成長し、鼻隆起を内側に圧迫する。その結果内側鼻隆起と上顎隆起が癒合する。このとき上顎隆起と外側鼻隆起は鼻涙溝で分離している。この鼻涙溝の底が埋没して鼻涙管を形成し、さらにその上端が広がって涙嚢をとなる。その後上顎隆起はさらに成長し、外側鼻隆起と合体する。また上顎骨を形成する。
・・人中ってのは口と鼻をつなぐ部位の一般的な名前らしい(知らんかった

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口蓋
上顎隆起が内側へ成長する結果、顎間部という2つの隆起が形成され、これが一次口蓋(口蓋の前方部分だけ)となる。さらに上顎隆起の両側から斜め下方向に口蓋突起が伸び、これが挙上して水平になり左右が癒合することで二次口蓋となる。すると鼻中隔が下降してきて、二次口蓋の上面と癒着する。

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鼻腔
鼻腔は鼻窩が深くなることで形成される。初め口蓋と鼻腔は口鼻膜で隔てられているが、これが破裂することにより連結する。その後二次口蓋が形成されることによって再び鼻腔は口蓋から分離される。
副鼻腔は鼻腔側壁から発達し、上顎骨、篩骨、前頭骨、蝶形骨へと広がる。思春期にこられの副鼻腔は最大の大きさに達し、顔面の形状の形成にも寄与する。

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口腔を覆う上皮の基底層から顎の形に沿って前方から順にU字型の歯堤が生じ、これから乳歯の数と同じ上下各10個の歯蕾へと分化する。次に歯蕾の表面の上皮が陥入しエナメル上皮となり、その内側の上皮が分化してエナメル芽細胞となってエナメル質を産生する。またエナメル上皮の下端にある乳頭に入り込んだ間葉細胞からはゾウゲ芽細胞が生じ、ゾウゲ質を産生する。エナメル質が成長するにともないゾウゲ質も成長し、歯髄腔は狭くなり血管と神経をいれる管となる。その後さらに象牙質と接する部分からセメント芽細胞が生じセメント質を産生し、またその外面には歯周靱帯が形成され、歯を固定する。
永久歯の歯蕾は乳歯の下側に後に形成され、これが発育すると乳歯の歯根は破骨細胞によって破壊されていく。
・エナメル芽細胞は外側に存在して内側にエナメル質を付加していき、歯が生えるとともに脱落する。一方で象牙芽細胞はゾウゲ質の内側の歯髄側に存在し、一部がゾウゲ線維となって残る。

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顔面形成の分子的制御
・顔面の大部分は頭部神経ヒダの縁から鰓弓へと遊走してきた神経堤細胞に由来する。菱脳部では、R1〜R8までの菱脳分節という分節的な区域から特定の鰓弓への遊走が起きる。その際に一部の分節はアポトーシスによって退化する。
・Shhやレチノイン酸、また外胚葉からのFGFなどの作用によって部位ごとに発現するHOX遺伝子が違い、それによって各鰓弓が形成される。

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歯の発生の分子的制御
・Wnt、BMP、FGF、Shhなどの因子、MSX1、MSX2などの転写因子によって制御されるHOX遺伝子の組み合わせにより、切歯から臼歯までの歯のパターンが形成される。
・歯の発生に際してはエナメル結節がオーガナイザーとして働き、これはFGF4、Shh、BMP2、BMP4を発現させる。
 

医学部生のノート公開~シケプリ国師対策

現在製作中ですが、某国立医学部の僕が試験対策に作ったシケプリをwebで公開しています。

 

容量がヤバイのと、ブログ側のAPI制限があるので、公開はゆっくりになりますが…

 

ノートは僕が試験前に時間をかけて作り、友達に一部500円で売ったりしていました。

人に見せるのを前提で作ったため、割とクオリティは高いと思います。

 

まだ製作したてでモチベーションがあがらない状況でもあるので、

こちらに何か一言コメントをいただけると幸いです。

 

順次整理していきたいと思っていること

・記事の追加(毎日少しづつ追加して、一ヶ月ほどで現在のノートはまとめ終わる)

・書籍の紹介(ノートに使った書籍の紹介)

・ブログの整理(まだまったくまとまっていないので)

 

医学系の専門知識をまとめたいと思っているので

 

看護・歯学・薬学・放射線の学生でノートをとっている方がいれば連絡下さい。

(将来的にいくらかで買い取らせてもらおうと思っています)

 

現在はまだ未完で、完成まで3ヶ月程度として順次公開していくのでよろしくお願いします。

発生学4 泌尿・生殖器系

泌尿・生殖器

 
泌尿器系
発生期には位置的・時期的に重複しつつ前腎・中腎・後腎という3つの腎が形成される。後腎は永久腎(普通の腎臓)となるが、前の2つは痕跡をのこしながら消滅する。
・・前腎管の残りを中腎がつかい、中腎管から後腎がうまれるというように、3つの腎は連続してもいる。

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前腎
発生第4週目の始めに頸部に現れるが、機能をもたないまま退化し完全に消失する。
 
中腎
発生4週目の前腎が退縮中のころに中腎細管として現れる。細管の内側ではボーマン嚢を形成し、まわりの毛細血管からなる糸球体とあわせて腎小体を形成する。また細管の外側端では中腎管/ウォルフ管とよばれる集合管を形成し、中腎管は排泄口に開口する。しかし中腎はその後退化し、消失へとむかう。
・男性では尾方の中腎細管と中腎管が生殖器の形成に関係する。
 
後腎
発生5週目のごろに出現し、後腎や永久腎とよばれる。後腎はさらに4週間ほどすると機能するようになり、羊膜腔中に尿を排泄するようになる。
後腎の集合管系は、中腎の尾端近くから尿管芽として発生する。この尿管芽は増生して中間中胚葉からなる後腎組織塊のなかに進入し、集合細管となる。この際1つの芽から複数の芽が出芽するということを12世代以上繰り返すため、100〜300万の腎杯ができる。ここで2世代目の芽は3,4世代を吸収して腎盂の小腎杯を形成し、この小腎杯に後続世代が収斂するかたちになることで腎錐体が形成される。
集合細管の末端はそれぞれ後腎組織帽というキャップで覆われ、このキャップが分化して後腎胞となり、さらにボーマン嚢と尿細管を形成して集合細管につながる。またボーマン嚢のポケットには毛細血管が成長しておさまり、腎小体となる。

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腎臓の上昇
腎臓ははじめ骨盤域に位置するが、のちに身体が伸びることで相対的に腹腔内を頭方に移動する。この間、腎臓は総腸骨動脈→・・・→腹大動脈の上方の枝(腎動脈)と、つねに大動脈のより高い部位から分岐する動脈をのりかえながらうける。
また腎臓は移動の際に90°回転し、はじめ前方を向いていた腎門が内側をむくようになる。
 
 
膀胱と尿道
排泄腔が尿直腸中隔で区切られたあとに生じた尿生殖洞は、上から膀胱(部)骨盤部生殖茎部の3つにわかれる。はじめ膀胱は痕跡的な尿膜へと続いているが、尿膜は収縮して閉鎖し尿膜管となり、これは成人では正中臍索とよばれる。
・・男性では骨盤部は尿道前立腺部と尿道隔膜部を形成し、生殖茎部は海綿体部を形成する。

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膀胱が大きくなるにつれて中腎管が膀胱壁に吸収されていく。中腎管から伸びた芽体だった尿管は、これによって膀胱に直接つながるようになる。また中腎管(中胚葉起源)の開口部は膀胱に一部が取り込まれるようなかたちで左右が接近しつつ移動し、これにより膀胱三角という中胚葉起源の膀胱粘膜の部位が形成されるが、これはやがて内胚葉起源の上皮に置き換えられ、膀胱はすべて内胚葉起源の上皮で覆われる。

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#副腎(ラングマンは神経の部分で扱う)
 
 
腎臓分化の分子的制御
・間葉細胞が転写因子WT1を発現し、これが尿管芽による間葉の誘導を受容できるようにするとともに神経膠細胞由来神経栄養因子/GDNF肝細胞増殖因子/HGFの産生を制御し、尿管芽の増殖を刺激する。
・尿管芽ではGDNFに反応するためにチロシンキナーゼ受容体/RETとHGFに反応するためのMETを合成する。またFGF2とBMP7を介して間葉に誘導作用を及ぼす。
・・このように尿管芽と間葉が相互作用することで腎臓は形成される。
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性分化は多くの遺伝子が関与する複雑な過程だが、その鍵はY染色体上のSRY遺伝子/性決定領域にある。これが機能すると男性への発生がすすみ、機能しないと女性への発生のまますすむ。
 
生殖腺
まず中腎の内側に間葉組織が生殖堤という隆起を形成し、生殖堤は活発に増殖して原始生殖策となる。ここまで性の区別はついておらず、未分化生殖腺とよばれる。ここに卵黄嚢の内胚葉性細胞から生じた原始生殖細胞がアメーバ様運動により移動してくることで、性分化がおきる。
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精巣
SRY遺伝子の影響があると原始生殖策は増殖を続け、精巣索/髄質策を形成する。これは分裂して網目をつくり、後に精巣網の細管となる。また結合組織の層である白膜は後にこの精巣索の表面から分化する。また発生4か月めにはセルトリ細胞も分化する。
精巣索の形成と同時にもとの間葉からはライディッヒ細胞が生じ、これがテストステロンを生産することで精巣が他の器官の性分化に影響を与える。
・・精巣索は思春期まで閉じているが、やがて腔を生じ精細管となる。これが開通して精巣網の細管、さらには輸出管へとつながる。これらの細管は中腎管が分化した精管と連絡する。
・・テストステロンの産生は、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン/hCGによって刺激される。
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卵巣
女性ではSRYの影響がないために原始生殖策は消失し、卵巣髄質となる血管に富んだ支質で置換される。一方生殖腺の上皮は男性と異なり増殖し続け、生殖策には二次策である皮質策が生じる。皮質策は胎性4か月には独立した細胞塊にわかれそれぞれが数個の原子生殖細胞を取り囲み、卵胞細胞となる。
 
 
生殖管
最初に男女とも中腎管/ウォルフ管中腎傍管/ミュラーの2つの生殖管をもつ。中腎傍管は体腔上皮が縱に陥入することで、性腺および中腎管の外側に発生し、頭方では漏斗のような形で体腔に開き、尾方で中腎管と交差して反対側の中腎傍管と接する。
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男性
中腎管から精巣上体、精管、射精管、精嚢といった主な生殖管が形成され、また中腎細管からは精巣輸出管とその他の痕跡器官である精巣膀体を形成する。
一方中腎傍管は精巣垂を形成する以外は退化する。
・・前立腺は尿道の前立腺部から発生する。また尿道球腺は尿道海綿体部からの膨出として出現する。

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女性
中腎傍管が発達しておもな生殖管となる。体腔に開口する部分から中腎管と交差する部分までは卵管となり、尾方は左右の中腎傍管が癒合して子宮管となる。また中腎傍管が移動する際に尿生殖堤(たぶん生殖堤とその下の土台の部分をあわせた部分)はヒダ状となり、左右が癒合して子宮広間膜を形成する。子宮は後に間葉にとりかこまれ、筋性の外皮である子宮筋層と膜性の被膜である子宮外膜が形成される。
中腎傍管の尾方端が尿生殖洞の後壁に到達すると、尿生殖洞骨盤部からもが形成される。このため膣は上半分の子宮管(←中腎管)由来の部分と下半分の尿生殖洞由来の部分からなる。
・・子宮広間膜の形成によって、直腸子宮窩や膀胱子宮窩が形成される。

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発生第3週に原始線条域に由来する間葉細胞が排泄腔膜のまわりに遊走して排泄腔ヒダが形成される。頭方ではこれが合体して生殖結節になるとともに、尾方では尿道ヒダ肛門ヒダにわかれる。さらに尿道ヒダの外側に生殖隆起が生じる。
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男性
生殖結節が急速に伸長して生殖茎となり、これが尿道ヒダを引き寄せてそれに尿道海綿体をつくらせながら両側から覆い、陰茎となる。また陰茎の先端では外胚葉性の細胞が陰茎亀頭をつくり、さらに尿道海綿体と出会うまで内方へ成長し、陰茎が完成する。一方で生殖隆起は鼠径部から尾方に移動して陰嚢となる。

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女性
生殖結節はほとんど伸長せず陰核となる。また尿道ヒダは男性と異なり癒合せず小陰唇となる。生殖隆起は肥大して大陰唇となる。尿生殖溝は体表に開き、腟前庭となる。

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精巣下降
精巣は後腹壁に付着しているが、中腎の退化に伴い陰嚢へと移動する。これにはまず精巣尾方端から精巣導体がのび、精巣はこれに従い「腹膜の外側かつ腹筋の内側」を移動していく。精巣などが腹腔から脱出する際には腹筋をひっぱりながら腹壁に穴を開ける(鼠径管の形成)が、そのさいに精巣よりも内側にあった腹膜もひっかけられるようにして腹腔をとびだし、鞘状突起が形成される。精巣が陰嚢内に入ると腹腔を飛び出した鞘状突起は腹腔の腹膜との交通を断たれ、精巣鞘膜とよばれる精巣の脇に孤立した腹膜嚢として存在するようになる。
精巣下降の際に引っ張られた腹筋は、精巣下降後は腹筋群まで連続する精巣の被膜として残り、精巣は内精筋膜(腹横筋由来)−精巣挙筋(内腹斜筋由来)−外精筋膜(外腹斜筋由来)の3つの層によって覆われることになる。また精巣は一部を精巣鞘膜にも覆われる。
・・精巣が腹膜の後にあるということについては、子宮広間膜の図のAなども参照。また卵巣(上から腹膜に包まれる)において後側のくぼみがめっちゃ浅いなどと考えてもいい・・・?

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卵巣下降
卵巣は精巣にくらべてあまり下降せず、最終的に骨盤分界線の直下に位置する。女性の卵巣導帯(帯が精巣と違い体ではない?)も鼠径管を形成して大陰唇までつながるが、卵巣を牽引することはあまりせず、子宮円索(導帯の大陰唇から子宮までの部分)固有卵巣索(導帯の子宮から卵巣までの部分)となる。
また卵巣下降の結果、卵巣上部には卵巣提索が形成される。

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生殖管分化の分子的制御
SRYは精巣発達を司る遺伝子で、中腎管からの細管が生殖堤に進入するよう働く化学走行因子を分泌させ、さらに精巣の分化を促進する。また、ステロイド生産因子1/SF1の発現を増加させ、これがSOX9を介してセルトリ細胞ライディッヒ細胞の分化を誘導する。
・セルトリ細胞はミュラー管抑制物質/MIS/抗ミュラー管ホルモン/AMHを産生し、中腎傍管を退縮させる。
・ライディッヒ細胞はテストステロンを生産し、これが標的細胞の核内受容体と結合して中腎管や外生殖器の男性化を行う。

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発生学3 呼吸器系・消化器系

呼吸器系
呼吸器系は前腸腹側壁がふくらみだし、呼吸器憩室/肺芽を形成する。憩室が拡張するにともない、両側から気道食道稜が発生して気道食道中隔を形成することで、前腸から分離される。
・呼吸器系は前腸由来であるため、その上皮はすべて内胚葉に由来する。気管などのまわりの軟骨や筋、結合組織は、前腸をとりまく臓側中胚葉に由来する。

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肺芽は気管と2本の主気管支を形成し、主気管支はさらに右で3つ、左で2つの二次気管支を形成する。これらが心腹膜管(心膜腔と腹膜腔が連結してる部分)とよばれる体腔へ進入して成長し、右3葉・左2葉の肺が形成される。心腹膜管は胸腹膜ヒダと胸心膜ヒダによって区切られ、胸膜腔となる。

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胎生期の最後2ヶ月ぐらいから終末嚢が着実に増加し、毛細血管が終末嚢にふくれ出すようになってくる。これとともにⅠ型肺胞細胞が形成する肺胞壁が次第に薄くなり、毛細血管やリンパ管と密接に結合するようになることで血液-空気関門が形成される。またⅡ型肺胞細胞からは界面活性物質が分泌される。出産前の肺は気管支腺からの粘液やⅡ型肺胞細胞分泌液などからなる液によって満たされている。

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発生の時期による分類
1,線状期/腺様期(〜胎性17週ごろ) 盲管状に終わるため呼吸できない
2,細管期/管状期(〜胎性6か月ごろ) 肺組織は血管に富むようになる
3,終末嚢期(〜胎性後期) 終末嚢が発達してガス交換が可能
4,肺胞期(〜8歳ごろ) 
・・胎児の呼吸運動は出産前にはじまり、羊水の吸引をおこす。この運動は肺の発育を刺激し、呼吸筋を準備するために大切である。吸引された水は毛細血管やリンパ管により吸収されるが、界面活性物質は残り肺胞を被膜する。
・・生後の肺の成長は主に呼吸気管支と肺胞の数の増加により、肺胞の数は生後10年間くらいの間増え続ける。
 

消化器系
胚子の折りたたみの結果、内胚葉に囲まれた卵黄嚢腔の一部が胚体内に組み入れられて原始腸管となる。この原始腸管は前腸中腸後腸を形成する。中腸は卵黄嚢とつながっており、後腸からは胚体外の尿膜が分岐している。また、前腸からは呼吸器系の咽頭も形成される。
胃や腸のように腸管がそのまま分化するものと、肝臓、胆嚢、膵臓、(脾臓(リンパ性器官))などのように腸管から出芽するような形で形成されるものがある。
 
前腸 十二指腸の途中まで
中腸 十二指腸から横行結腸の右から2/3まで
後腸 横行結腸の左側1/3から肛門上部まで
 
 
前腸
食道
前腸の腹側壁に呼吸器憩室/肺芽が形成され、呼吸器と食道がわかれる。食道ははじめ短いが、心臓と肺の下降にともなって急速に伸長する。上2/3は横紋筋で下1/3は平滑筋だが、両者とも迷走神経に支配される。
・ラングマンには平滑筋部分は内臓神経叢に支配されるとあるが、間違い・・・?
 
 
前腸の拡張部が頭尾軸方向に90°回転し、左側が前にくる。この回転中にもと後方部は前方部よりも成長が速いため、大弯と小弯が形成される。さらに前後軸方向に回転し、噴門部が下がり幽門部が上がることで最終的位置をとる。

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はじめに背側にあった背側胃間膜は回転によって 左→左下 方向に移動し、たるんだ網嚢となり、この弛んだ袋の裏表がくっつくことで大網を形成する。また腹側胃間膜は 右→右上 方向に移動し、小網肝鎌状間膜となる。こうした移動により脾臓の背側胃間膜は後腹壁と癒合し、脾臓の腹膜後器官としての位置も定まる。
・網嚢とは膜の間の間隙のこと。大網が癒合しても一部にまだ残る。
・大網は結局、4枚の腹膜から形成されることになる。
・小網は十二指腸や肝臓につながる。
・肝鎌状間膜は肝臓から前方の腹壁につながる間膜である(小網は肝臓から後方の胃につながる)。
・肝鎌状間膜は臍静脈をふくんでおり、肝円索をもつようになる。
・・頭尾軸方向の回転のため、胃の前面は左迷走神経支配で、後面は右迷走神経支配になる。
 

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十二指腸
前腸の末端と中腸の頭方部から形成される。胃の回転にあわせてC字型のループをなして右に移動する。十二指腸と膵頭は背側体壁に押しつけられ、背側十二指腸間膜が腹膜と癒合して消失するために、腹膜後位に固定される。
・前腸と中腸から形成されるため、腹腔動脈と上腸間膜動脈の両方をうける。
 
肝臓と胆嚢
肝臓は前腸末端(十二指腸になるところ)の腹側から肝窩/肝芽として出芽し、横中隔内に伸びていく。肝芽が伸びていく間にその途中から胆管ができ、これが胆嚢と胆嚢管になる。
クッパー細胞や造血細胞、結合組織細胞は横中隔の中胚葉に由来する。
・横中隔由来の中胚葉が膜状となり、小網と肝鎌状間膜(2つあわせて腹側胃間膜)の形成に寄与する。
・・肝臓は成長中に卵黄嚢静脈と臍静脈とまじりあい、肝シヌソイドを形成する。
・・発生期には肝臓は造血機能をもつが、これは後に退化する。

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十二指腸の内胚葉上皮に由来する腹側と背側の2つの芽体から形成される。十二指腸がC字型になるとともに腹側が背側のすぐ下にくるように移動し、これが癒合してひとつの膵臓となる。腹側が鈎状突起と膵頭下部を形成し、のこりは背側由来である。(上図も参照)
はじめ、背側の膵は小十二指腸乳頭にひらき腹側の膵は大十二指腸乳頭にひらくが、後に導管が癒合して主膵管となり、背側の膵も大十二指腸乳頭にひらくようになる。
・・背側の膵−小十二指腸乳頭という経路をたどる副膵管が残ることもある。

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中腸
中腸では腸間膜が急速に成長した結果一次腸ループが形成される。これは肝臓の成長とも相まって腹腔内におさまりきらなくなり、臍帯内の胚外体腔へと脱出する(生理的臍帯ヘルニア)。
・中腸ははじめ卵黄嚢と交通していたが、ここでは卵黄嚢ではなくあくまで臍帯のほうにいくことに注意。このころには卵黄嚢はしぼんでいる。(卵黄嚢と付着茎(→臍)ははじめ胎児の別の部分から飛び出していたが、羊膜が裏返って両方をつつみつつ胎盤につながることで、はじめに羊膜の腹側の外側にあった部分は全部際の中に入ってしまうようになるから、卵黄嚢も付着茎もどちらも臍にふくまれているような形になる)

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腸の成長とともに腸ループは上腸間膜動脈を軸として腹側からみて反時計回りに270°ねじれる。その後、腹腔内が拡張するのに合わせて腸ループは腹腔内へと戻る。このときはじめ腹腔の左側へと入り、あとからくるものがその右側に収まっていき、盲腸芽が最後に腹腔へと戻る。この盲腸芽がその後下降していき、上行結腸と右結腸曲を形成し、その遠位部には虫垂ができる。

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腸ループの移動によって腸間膜も変化する。背側腸間膜は上腸間膜静脈の起始部からねじれ、上行および下行結腸が最終的な位置をとるとそのほとんどは後腹壁に押しつけられるが、S状結腸など一部の部分では押しつけられていない自由腸間膜が残る。また、前面には胃から下がる大網が位置する。これは横行結腸と癒着するとともに上行・下行結腸にも付着する。(図は大網があるときと、大網をはがしたとき)

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後腸
後腸の末端は排泄腔後部の原始直腸管にひらき、尿膜は排泄腔前部の原始尿生殖洞にひらく。排泄腔は排泄腔膜によって外界から隔絶されている。ここから中胚葉由来の尿直腸中隔が成長し尿膜と後腸を分離する。
排泄腔膜は尿直腸中隔と癒合したあと一度破れるが、そこに肛門膜が形成され後腸は再び外部と隔絶される。肛門膜は後に破れ、消化管は羊膜腔と交通するようになる。
・・このように肛門の部分は腸ではなく外胚葉由来の排泄腔から発生するため、内陰部動脈の枝である下直腸動脈から血液をうける。一方で肛門の上部は紅潮由来であるため、下腸間膜動脈の続きである上直腸動脈から血液をうける。

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腹膜について
腹膜には背側腸間膜と腹側腸間膜由来のものがあるが、中腸以下では腹側腸間膜は存在しない。しかし腹側間膜が存在しない部位でも、後に胃から背側腸間膜由来の大網がおりてくるため、前面に腸間膜をもつことができる。(3つ上の図)
・腹側腸間膜に由来する間膜には、小網や肝鎌状間膜

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がある
 
十二指腸以下の部分に腹側腸間膜が存在しないのは次のような理由だと考えた。(いまいち理解しきれていないが)。
 
1,普通に卵黄嚢との交通が断たれる部分では、下の上の図C3のように連絡が絶たれることによって腹側腸間膜が生じる。
2,一方で下の下の図のA「胚内体腔がある」と書いたやつ)において、C断面よりもちょっと頭部の部分や尾部の部分では、ピンクの羊膜と胎児との間に隙間があると考えられる。そのような部分では下の上の図D3などのように腹側腸間膜が生じない。また卵黄嚢と付着茎の間の部分も胚外体腔と交通しているために腹側腸間膜が生じない。これらの部分は卵黄嚢が引っ込むようにして収まることで結局は全部つながり、D3のような断面で腹側腸間膜をもたないままとなる。
・・卵黄嚢と付着茎の間の胚外体腔との交通部は、中腸ループが生理的臍帯ヘルニアを起こす際にも利用する。
3,もっと下の臍の部分よりも下の領域では、十二指腸よりも上の部分と同様にはじめは腹側腸間膜をもつが、それは下の下の図Fのように後に消失してしまう。
 

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そうしたことが起きる結果、最終的に腹側腸間膜は肝鎌状間膜と小網の部分だけに存在するようになる。

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腸管形成の分子的制御

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消化管の層構造の分化
腸管中胚葉は潜在的に平滑筋を形成する能力をもつ。しかし内胚葉から分泌されるShhが中胚葉での平滑筋活性化タンパク質Smapの発現を抑制することにより、平滑筋の発現は外層のみにかぎられて粘膜固有層と粘膜下層が形成される。またShhはBMP4の発現を促進し、それにより腸管神経細胞を外層の粘膜下層(マイスナー)などに制限する。

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肝臓誘導の分子的制御
・前腸の内胚葉はどの部分でも肝臓特異的遺伝子を発現して肝組織に分化する能力があるが、抑制因子によって阻止されている。この抑制因子が心臓部の中胚葉から分泌されるFGFによって阻害されることで、肝臓となる区域では肝への分化能が発揮される。
・肝への分化がはじまると、肝臓領域の細胞は幹細胞と胆路を構成する細胞へと分化するが、その過程には幹細胞各転写因子HNF3,HNF4が関係しているとされる。
 
膵臓発生の分子的制御
脊索で作られたFGFとアクチビン(TGF-βファミリーのひとつ)がShhの発現を抑制し、その結果として膵十二指腸ホメオボックス1/PDXの転写が促進される。
PAX4PAX6の両方が発現するとβ細胞、δ細胞となり、PAX6

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